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 高年妊娠について
 最近は、日本のみならずアメリカやヨーロッパにおいても出産年齢が高くなってきています。世界産婦人科連合では高年出産を初産婦さんで35才以上、経産婦さんで40才以上としていますが、わが国においては35才以上の初産婦さんとして経産婦さんに対する規定はありません。高年妊娠・出産は母体と胎児双方にリスクがあります。20〜30才代の妊娠に比べてどのようなリスクがあるのかを記述してみました。 
   
母体のリスク ★妊娠以外の病気の合併 加齢にともない増加する疾患の合併が妊娠に影響するもの
 1)子宮筋腫
 2)慢性高血圧症(本態性高血圧症)
 3)糖尿病

★妊娠中に増加する異常
1)流産
 高年齢になるに従い自然流産のリスクが高くなります。これは分娩回数や過去の流産に関係なく高年齢になるに従い卵巣機能が衰えホルモン分泌減少や排卵された卵子の染色体異常が増えるためだとされています。

2)胞状奇胎
 15才以下と45才以上の妊娠では、20〜30才代に比べて胞状奇胎のリスクが10倍以上あるといわれています。胞状奇胎は卵子や精子の遺伝子情報の異常で起こるとされています。

3)子宮外妊娠
 子宮外妊娠も加齢とともに増加することが報告されています。

4)妊娠高血圧症候群
 以前は加齢とともに増加するという考え方が一般的でしたが、20〜30才代に比べて妊娠高血圧症候群重症例のリスク増加は認めるが、逆に軽症例では減少すると言う報告、妊娠に影響を及ぼす基礎疾患(慢性高血圧・慢性腎臓病・膠原病・その他)がない場合は発症に大きな差を見なかったという報告もあります。未だに一致した意見はありませんが、妊娠経過中の注意が必要なことには変わり有りません。

5)早産前期破水
 臨床的に原因不明ですが、20〜30才代に比べて早産や前期破水を起こす頻度が高くなると報告されています。特に最近の報告では40才以上の妊婦さんに早産や前期破水のリスクが高いという報告がありました。

骨盤位(逆子)
 原因は不明ですが20〜30才代に比べて子宮内での胎児位置異常の頻度が高くなるという報告があります。

7)胎盤の異常
 前置胎盤常位胎盤早期剥離などの胎盤に関する異常も増加するといわれています。これらの異常は加齢とともに血管内皮細胞の損傷が増加することが原因ではないかと考えられています。

8)難産
 過去には20〜30才代に比べて難産になる可能性が高いとされていましたが、近年の研究では合併症などの分娩障害がなければ分娩時間に関する限り変わらないとされています。しかし加齢とともに胎児の位置異常、糖尿病などによる巨大児、子宮筋腫の合併による分娩障害などが起こりやすく難産になる確率はやはり高いようです。

9)多胎妊娠
 不妊治療などが原因だとされていますが、20〜30才代に比べて多胎妊娠も増加するといわれています。

10)帝王切開術の増加
 合併症の増加、胎盤の異常、難産の増加などによって、周産期死亡率が40才以上では20〜30才代に比べて20倍近く増加するという報告もあり、安全に分娩を行うために帝王切開術を選択する場合が増えます。 
   
胎児のリスク 1)染色体異常
 高年齢妊娠では、ダウン症候群などの染色体異常が増加するといわれています。しかし転座型トリソミーは母体の年齢に関係なく発症しますし、ターナー症候群などの発症は母体の年齢に反比例するといわれています。また父親の高年齢が原因で染色体異常が発症することはないと報告されています。

2)胎児の体重
低出生体重児
 20〜30才代に比べて胎児の出生時体重が低体重である場合が多いと報告されています。これは母体の妊娠に影響を及ぼす合併症によって人工的に早産せざるを得ないためや妊娠中の胎盤に異常を起こしやすく十分な栄養分や酸素などを胎児に供給できなくなるためとされています。

巨大児 母体の糖尿病の合併率が増加するために、巨大児のリスクも増加します。

3)分娩後の影響
 高齢妊娠であっても、妊娠中〜分娩時の胎児に異常を認めなければ、出生後の新生児は何も影響はなく通常通り成長します。  

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