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 子宮内胎児発育遅延 
子宮内胎児発育遅延(intrauterine growth restriction : IUGR)とは、妊娠週数相当の標準発育に比べて、遺伝的な体格を考慮したうえで胎児が本来発育すべき体格にならずに、平均に比べて小さい場合をいいます。
また子宮内胎児発育遅延(intrauterine growth restriction : IUGR)という概念は、体重の軽い新生児(light for dates : LFD)を予防するために、妊娠中の胎児管理をするために作られました。
したがって妊娠中のIUGR児は出生後はLFD児とよばれます。(低出生体重児とは出生時の体重が2500g未満の場合に用いられます。)
 
   
分類 タイプT
均衡型(胎児発育不全) (symmetrical IUGR)     妊娠初期に問題のあるもの

タイプU

不均衡型(胎児栄養失調)(asymmetrical IUGR) 妊娠後半以降に発達遅延があるもの
 
   
原因  均衡型IUGR
 1)先天的な奇形(心臓奇形、臍帯の奇形、など)

 2)子宮内感染 (TORCH症候群、など)

 3)遺伝因子によるもの (ダウン症などの染色体異常、フェニルケトン尿症などの先天性代謝障害、など)

 4)胎児アルコール症候群 母親の薬物中毒(覚せい剤など) 母親の喫煙 など

不均衡型IUGR
 1)母親の栄養障害

 2)子宮や胎盤の血流障害(高血圧、妊娠高血圧症候群、腎臓病、子宮の奇形、胎盤梗塞、膠原病、
   抗リン脂質抗体症候群、多胎妊娠、など)
 
   
頻度 全妊娠の10%前後でほとんどの発育遅延はタイプUIUGRの母体側に原因のあるものです。
内訳は、タイプTIUGR 10〜20%、タイプUIUGR 80〜90%になります。
 
   
検査と診断 検査の中心は超音波診断による胎児計測と胎児の元気度(well-being)です。

★胎児計測 詳しくはこちらへ
CRL(胎児頭殿長)  
BPD(胎児大横径)
HC (胎児頭蓋骨周囲長)
AC (胎児腹囲)
FL (胎児大腿骨長)
EFW(胎児推定体重)
・・・などを計測して妊娠週数の標準値と比べる。
またHC/AC比は、均衡型IUGRか?不均衡型IUGRか?の区別によく使われます。

★胎児の元気度(well-being)
赤ちゃんの元気度(well-being)を調べる方法は、胎児の低酸素状態を調べることで大きく分けて2種類あります。
@胎児の血液を直接採血して低酸素状態を調べる方法

A胎児の低酸素状態からおこる生体反応を調べる方法(胎児心拍数モニタリング、BPS、胎児血流計測など)

@は、胎児に対してある程度の危険がありますが、Aは超音波診断と分娩監視装置などを用いるため安全に検査が行えます。

胎児心拍数モニタリング(non stress test:NST)
お母さんのお腹(子宮)の周りにゴムベルトで子宮収縮や胎動を感知するプローべと胎児心拍を感知するプローべの2つを巻いて、経時的に記録紙に記録することで胎児の状態を診断します。

BPS(biophysical profile score)
妊娠25〜26週以降、上記のNSTに、胎児の生理的活動状態(呼吸運動、筋緊張、胎動、羊水量)を加えて胎児の状態を診断する方法です。詳しくは・・→ こちらへ

胎児血流計測
臍帯動脈、臍帯静脈、下大静脈や中大脳動脈の血液の流れの状態を超音波診断によって計測して胎児の状態を診断する方法です。
 
   
妊娠管理と治療 お母さんの合併症などの病因があるときには、当然この治療を優先します。
抗リン脂質抗体症候群
などによる不育症が原因と分かっていればヘパリン療法などの治療が行えますが、ほとんどの子宮内(胎児)発育遅延は原因が多種多様で妊娠中の母体内治療の有用性が証明されていないために、現在では、胎児にとって適切なタイミングで分娩にする時期を決めている状態です。
さらに分娩方法は、正常な大きさの胎児に比べてIUGRの胎児は小さいために分娩に対する予備能力も低下しています。
経腟分娩を選択しても、突然予備能力の低下から陣痛に耐えられなくなり緊急帝王切開術になることもあります。
そのため高度のIUGRや骨盤位(逆子)などでは、始めから予定を組んで選択的帝王切開術を行うこともあります。
一方、染色体の異常が診断されている場合や、予後不良な病気の診断がされている場合などでは、ご家族と相談した上で分娩時期や分娩様式を決めることもあります。
 
   
分娩後の予後 子宮内胎児発育遅延の原因は胎児因子・胎盤因子・母体因子の3つに分類されますが、均衡型の場合は胎児自身の発育阻害因子が原因のため予後不良な場合が多いようです。
それに比べ不均衡型では発育阻害因子が胎盤などの血流障害が原因のため予後は比較的良好なことが多いようです。
しかし胎児因子・胎盤因子・母体因子が混在している場合や妊娠中期〜末期にかけての子宮内胎児発育遅延では原因不明のことも多くあります。
また、LFD児全体の予後は、低体温・低血糖・低カルシウム血症・多血症などに陥りやすく、満期産の正常児に比べて周産期死亡率が約8倍高く、精神発達遅滞の発症率も高いといわれています。
 

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