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 高血圧症
高血圧は妊娠に大敵です。産婦人科では妊娠高血圧症候群や妊娠高血圧と分類上区別して扱いますが、妊娠以前より高血圧があると妊娠高血圧症候群へと重症化して胎児や母体に致命的な状況になる場合があります。ここでは本態性高血圧症(慢性高血圧症)について説明させていただきます。 
   
分類

★妊娠中の出現時期による分類
 1)妊娠以前より高血圧症がある場合  (本態性高血圧症または慢性高血圧症)
 2)妊娠によって初めて高血圧が出現した場合は妊娠高血圧症とする。

★妊娠以前からあった高血圧の分類
1)本態性高血圧症  家族性など遺伝素因があり、食生活、生活習慣などが加わって生じる高血圧症(全体の約90%)

2)二次性高血圧症  明らかな原因疾患があって高血圧症を引き起こしている場合

  ・大動脈縮窄症 先天性疾患です
  ・腎性高血圧 腎動脈の狭窄や腎糸球体の障害による
  ・原発性アルドステロン症 副腎皮質の腫瘍からアルドステロンが過剰に分泌されるため起こる
  ・クッシング症候群 副腎皮質の腫瘍からコルチゾールが過剰に分泌されるため起こる
  ・膠原病 SLE、大動脈炎症候群など
  ・褐色細胞腫 副腎髄質の腫瘍からアドレナリンやノルアドレナリンが過剰に分泌されるため起こる
  ・甲状腺機能異常 甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症
   
妊娠中の高血圧の診断 妊娠以前から高血圧があり、分娩後6〜12週間たっても高血圧が続いた状態を慢性高血圧症と診断します。
妊婦健診で測定する血圧値によって重症度を決めます。

 軽症 140〜160/90〜110
 重症 160以上/110以上 を目安とします。
 
   
管理と治療

管理と治療の目的は、次の二つです。
@高血圧を重症化から回避させて、母体のリスクを軽減させること
A妊娠を可能な限り継続させて、胎児の発育を促進させ周産期の予後を改善すること

分類上、妊娠高血圧症候群や妊娠高血圧と区別していますが、臨床上はそれらの予備軍として扱います。

★治療の基本
生活指導を行い(、たばこやアルコールの禁止、過度の運動を避け安静を保つなど)血圧の安定を図りますが、改善が見られない場合は降圧剤(血圧を下げる薬)を使用します。降圧剤を使う基準は血圧が150〜160以上/100〜110以上です。しかし重症高血圧症や高血圧症と関係のない他の病気(脳血管障害、心臓病、腎臓病、その他)を合併していて高血圧が悪影響を及ぼす可能性のあるときには、状況によって基準値を下げて治療を行います。

★治療の目安
急激な血圧降下や過度の血圧降下が起こると、子宮や胎盤の血液の流れも減少してしまい胎児の生活を脅かす可能性もあります。そこで降圧剤による血圧のコントロール値を定めています。この値も母体の状況によって変化しますが一般的な目安値として140〜150/90〜100、合併症がある場合は110〜140/80〜90です。降圧剤の使用中には頻回に胎児の状況を検査することはもちろんです。さらに必要に応じて妊娠高血圧症候群と同様に入院管理します。
また、二次性高血圧症は原因疾患を治療することが基本であるため、他科と協力体制をとって治療します。

★使用薬品について

αメチルドパ(アルドメットなど) 胎児や胎盤系にほとんど影響がなく、第一選択薬として使われています。
塩酸ヒドララジン(アプレゾリンなど) 急性または重症高血圧の治療や慢性高血圧に対して
αメチルドパ(アルドメット)と併用して使われます。
α、β遮断薬(ラベタロールなど) 日本では禁忌(使用を控えるべき)とされていますが、
アメリカなどでは急性高血圧の第二選択薬として使用しています。
カルシウム拮抗剤(アダラートなど) 妊娠後期の急性や重症高血圧に使われます。
ACE阻害剤 胎児の腎臓に対して毒性があるため禁忌とされています。
利尿剤 禁忌ではありませんが、
子宮や胎盤への血液の流れが減少するため注意が必要です。
   
ひと言 妊娠以前から高血圧症のある妊婦さんの治療の目的は、母体状況の改善と重症化の予防による妊娠継続です。胎児が成長し無事に産まれるまでの対症療法です。文頭にも述べましたが、重症化すると妊娠高血圧症候群へ移行して胎児はもとより母体に対しても致命的な結果を招くこともあります。また治療中にも胎児仮死、胎児発育遅延、常位胎盤早期剥離、母体の心不全など併発して、治療的意味で妊娠の中絶や早産させる必要に迫られることもあります。妊娠を確認された日から、お母さん自身と赤ちゃんのために日常生活でストレスなど避け、安静を保って血圧を上げないように心がけてください。

「妊娠高血圧症候群」について詳しくは・・・→ こちらへ
 

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