| 考えられる状況 | 
      吐き気、嘔吐、上腹部を中心とする腹痛で始まり食欲不振、倦怠感、疲労感などがある場合は、通常ウイルス性胃腸炎や感冒性胃腸炎であることが多いですが、見落とせない疾患として急性妊娠性脂肪肝(AFLP)やHELLP症候群などがあります。これらは母体の生命にかかわる重篤な疾患であるため、早急な対応が必要になります。    | 
    
    
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            | 注意点 | 
            妊娠後期に突然肝不全をおこす急性妊娠性脂肪肝(AFLP)は、初期に胃痛や上腹部痛で始まり数日〜1 週間ほどで黄疸が出現し肝機能障害から肝不全になります。HELLP症候群は妊娠中期以降、特に妊娠末期〜産褥3日以内に突然の上腹部痛〜季肋部痛(上腹部で左右の肋骨の下の部分)、吐き気、嘔吐などで発症します。ウイルス性胃腸炎や感冒性胃腸炎であれば、上腹部痛とともに下痢や風邪症状がおこります。 
また妊娠後期の虫垂炎(盲腸炎)は、非妊娠時にくらべて盲腸の場所が大きくなった子宮によって上腹部まで押し上げられているため、胃痛と区別がつけ難いことがあります。  | 
    
    
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      | 考えられる病名 | 
      1)ウイルス性胃腸炎 
             
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2)急性妊娠性脂肪肝(AFLP) 
妊娠後期、特に初産の妊娠35〜36 週頃に突然発症し肝不全になります。頻度は、妊婦さんの7000〜15000人に1人という報告から150000 
人に1人という報告もありまちまちです。 
 
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            3)HELLP症候群  
Hemolysis(溶血)、Elevated Liver 
enzyme(肝酵素上昇)、Low 
Platelet(血小板減少)という3症状がみられる症候群をいい、妊娠中期以降、特に妊娠末期〜産褥3日以内に突然の上腹部痛〜季肋部痛(上腹部で左右の肋骨の下の部分)、吐き気、嘔吐などで発症します。治療の基本は、妊娠高血圧症候群と同様に、妊娠のターミネーション(早期分娩)です。胎児機能不全を起こして緊急帝王切開術を行うことも多いです。妊産婦死亡率は0〜24%、周産期死亡率は5〜37%と非常に高く予後不良な場合が多いようです。 
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            4)その他上腹部痛の原因 
 
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