| ノロウイルス  | 
    
    
      | 1968年のアメリカ合衆国のオハイオ州のノーウォーク(Norwalk)という都市の小学校での胃腸炎の流行をきっかけに、1972年にウイルスの存在が明らかになったため、ノーウォークウイルスと呼ばれて以来「ノーウォーク様ウイルス“Norwalk-like
viruses”」という属名で呼ばれてきました。2002年の夏、国際ウイルス命名委員会によってノロウイルスという正式名称が決定され、現在は世界で統一されて「ノロウイルス」が用いられるようになりました。  | 
    
    
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      | 感染経路 | 
      生の貝  カキ、はまぐり、トリガイ等(貝類は、水の中に拡散したウイルスを吸い集める性質を持っています) 
      糞口感染 ノロウイルスを摂取してから15時間後には、症状出現前でも便中にノロウイルスが排出され始めて、25-70時間後には便の中のノロウイルスの排出はピークに達します。ノロウイルスはヒトの体外でも安定しているため、その感染したヒトの便中のノロウイルスが感染源となります。症状が消えてからも2週間、便中へのウイルスの排出が続くこともあります。ノロウイルスは、ロタウイルスに比べて塩素にも比較的強く、上水に下水が混入したり人が泳ぐ湖やプールに汚水が流れ込むことが、感染の原因になりえます。  | 
    
    
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      潜伏期間と流行時期 
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      感染後12-48時間後に発病 
      冬季の前半はノロウイルスによる胃腸炎が多く、冬季の後半はロタウイルス  | 
    
    
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      | 症状 | 
      12-60時間持続します(症状が2週間以上続く場合もあり)。嘔気・嘔吐・下痢・差し込むような腹痛 
      ノロウイルスについては、10-100個のウイルス粒子という少ないウイルス量でも摂取すれば発病する可能性があるとされています。こどもでは嘔吐、大人では下痢が多く、脱水がひどくなった場合は点滴が必要になる場合もあります。頭痛や微熱が出ることもありますが、深刻な長期にわたる影響を残すこともなく、2、3日で通常は軽快します  | 
    
    
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      | 妊婦さんへの影響 | 
      下痢、嘔吐による脱水症に注意が必要です。頻回の下痢などのために子宮収縮を起こすことがあります。  | 
    
    
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      | 胎児への影響 | 
      経胎盤感染が考えられるが、胎児の奇形や異常の報告もなく不明です。  | 
    
    
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      | 治療 | 
      ノロウイルスの増殖を抑える薬剤はなく、整腸剤や痛み止めなどの対症療法だけです。  | 
    
    
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      | ワクチン | 
      まだ開発されていません  | 
    
    
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      | ロタウイルス  | 
    
    
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      ロタウイルスは、こどもたちの重症の下痢の主な原因です(乳幼児下痢症)。好発年齢は生後6ヶ月〜2歳でわが国では予後は良好ですが、開発途上国では低栄養、脱水などにより乳幼児死亡の主要原因となっています。ロタウイルスは、A、B、C、D、E、Fの六つの血清群に分類され、A、B、Cの三つの群がヒトに感染します。ヒトに感染するロタウイルスの大部分は、A群に属します。B群は中国で見られます。C群は主にブタに感染し、ときに人間に感染することもあります。日本で見られるロタウイルスは、大部分がA群であり、ときにC群が見られます。 | 
    
    
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      | 感染経路 | 
      糞口感染 患者の便の中に出てきたロタウイルスが、手などによって運ばれて、周囲の人たちの口の中に入ることによります。しかし、気道の分泌物や他の体液にもロタウイルスが少量ながらも出て来ることが報告されていて、鼻水等による感染の可能性もあります。ロタウイルスは体外の環境下でも安定であるため、ロタウイルスにより汚染された水や食物を飲食したり、ロタウイルスにより汚染されたおもちゃをしゃぶったりしても、感染します。ロタウイルスによる感染性胃腸炎の場合、下痢症状が出る前から、下痢症状が終わって2、3日後までは、患者の周囲の人たちが感染する可能性があります。  | 
    
    
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      | 潜伏期間と流行時期 | 
      約2日(1-3日) 
      日本・アメリカ合衆国や温帯の国々では、11月から4月までの冬季に流行します。  | 
    
    
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      | 症状 | 
      3〜8日間続く水様の下痢と嘔吐が特徴です。嘔吐から始まることが多く、摂氏39度以上の発熱や腹痛がしばしばおこります。咳や鼻水が見られる場合もありますが、ロタウイルスに感染しても何の症状も示さない子供もいます。症状がなくても便中にロタウイルスが排出されていることがあります。治ったあとの免疫は不完全で再感染することもありますが、二度目にかかる場合はほとんど軽症です。  | 
    
    
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      | 妊婦さんへの影響 | 
      感染することはありますが、ほとんどの場合軽症で治癒します。  | 
    
    
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      | 胎児への影響】 | 
      経胎盤感染が考えられるが、胎児の奇形や異常の報告もなく不明です。  | 
    
    
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      | 治療 | 
      ロタウイルスの増殖を抑える薬剤はなく、整腸剤や痛み止めなどの対症療法のみである。  | 
    
    
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      | ワクチン | 
      アメリカ合衆国で開発されています。初期のワクチン(1998年FDA認可)は、腸重積(腸閉塞)を起こす可能性が指摘されて使用中止になりましたが、新しいワクチンが開発され2007年からアメリカ合衆国の定期予防接種に加わりました。  |