|  超音波診断装置について  | 
    
    
       超音波診断は、人間の可聴範囲をはるかに超える高周波音波を利用して体内組織を視覚化する技法です。 
      プローブと呼ばれる小型装置から体内に超音波を送り、体内組織から反射した音波(エコー)は、同じプローブに戻され、接続された電子装置でこのエコーを内部組織の画像に変換します。 
      産婦人科領域の超音波診断装置では、3.5 〜 8MHz(メガ・ヘルツ)の超音波が用いられています。 
      (メガは100万の単位で、例えば5MHzの超音波といえば、毎秒500万回の振動の音を意味しています。)  | 
    
    
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      | 超音波は安全か?  | 
      アメリカ超音波医学協会は、超音波の臨床的安全性について次のような声明を出しています。「現在の診断装置で一般的に使用する強度では、被検者やオペレータに対する超音波照射の生体上の影響は確認されていない。将来、生体上の影響が判定される可能性はあるが、現在のデータでは、超音波診断の慎重な使用による利益が潜在的な危険を上回っている。」  | 
    
    
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      | 超音波の周波数 | 
      ★周波数が高い(5MHz以上)場合 分解能(どこまで細かい部分を識別できるかという能力)の高い断層像を得ることができますが、超音波が遠くまで到達しにくくなります。超音波プローブから離れた部分では明瞭な画像が得られないことがあります。 
★周波数が低い(5MHz以下)場合 
超音波プローブから遠い部分を観察する場合は、分解能は下がりますが明瞭な画像を得ることができます。  | 
    
    
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      | 経腹法と経腟法 | 
      ★経腹法 超音波プローブを腹部にあてる経腹法では、腹部の深い部分も観察できるように5.0MHz以下の低い周波数の超音波が使われます。超音波が、複雑な構造をしている母体腹壁を通過する際に不要な反射や屈折を起こすために妊娠初期の胎児(胎芽)や付属器の詳細で明瞭な画像を得ることは難しい場合があります。 
       
★経腟法 超音波プローブを腟内に挿入する経腟法では、高い周波数の超音波が使用され超音波プローブと子宮・付属器との間に複雑な構造物がないために分解能の高い明瞭な画像を得ることができます。  | 
    
    
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       経腹法           経腟法 | 
    
    
      | 妊娠初期における超音波検査の目的  | 
      妊娠初期には,主として以下に示す事項について確認します。 
 
★子宮内の妊娠か 
★胎児は生存しているか 
★胎児の数は 
★妊娠週数は正しいか 
★胎児に形態的な異常はないか 
★子宮,卵巣に異常はないか 
★絨毛部分(将来胎盤になる部分)の異常や絨毛膜下血腫(子宮と絨毛の間の出血)はないか | 
    
    
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      | 妊娠中期における超音波検査の目的 | 
      妊娠中期でも妊娠18〜20週頃がよいと考えられています。これ以前では、頸管長計測による早産予知の感度が下がり、胎児もまだ小さく各臓器の描出が難しいようです。一方,これ以降では子宮頚管縫縮術などの早産予防策をやりにくくなることがあり、一部の胎児疾患の診断についても遅くなってしまう場合があります。(妊娠週数によってまだ分からない疾患も多数ありますし、疾患の程度によってまだ分からない物もあります。)また、前置胎盤や臍帯の付着位置なども早いほうが診やすい場合もあります。 
       
      ★胎児の致死的な疾患の有無 
      ★早期(妊娠30週以前)の早産予防 
      ★胎盤や臍帯(へその緒)の異常の有無  | 
    
    
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      | 妊娠後期における超音波検査の目的 | 
      妊娠後期は胎児の発育状態の評価や各臓器の状態を判断することが主となります。妊娠30 週すぎ頃が子宮内胎児発育遅延(IUGR)の診断に適当と考えられています。しかし1度の診察で診断できず日を改めて再度検査する場合もあります。 
       
      ★胎児の発育状態のチェック 
      ★胎児の心臓などの各臓器のチェック 
      ★胎盤や羊水の状態チェック  | 
    
    
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      | 超音波検査を受けるときの注意点 | 
      超音波検査により胎児の疾患などが検出されることがあります。検出された異常が治療不可能な場合もあるし、治療可能なこともあります。また、産まれた後であわてずにゆっくり治療をすることで治る場合もあります。さらに、妊娠中に胎児の異常や病気を知ることがすべての人によいこととは限りません。そこで,下記の出生前診断についてのご家族の意思を事前に確認しておくことが望ましいと思います。 
 
★胎児疾患の有無を知らせて欲しいかどうか? 
★胎児疾患を何処まで知らせて欲しいかどうか? 
 →致死性を含めてすべての疾患を知らせて欲しい。 
 →致死性の疾患だけ知らせて欲しい。 
 →染色体の異常の可能性の有無だけ知らせて欲しい。 
★性別を知らせて欲しいかどうか。 
★その他の希望  |