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癒着胎盤(ゆちゃくたいばん) 
 胎盤の絨毛という部分が子宮の中に入り込んで、胎盤の一部〜全部が子宮に強く癒着して分娩時に子宮が収縮しても胎盤が自然にはがれない状態をいいます。
癒着胎盤は、通常の妊婦健診では診断されることが困難なことが多く、分娩時になって初めて診断される疾患です。
 
   
原因と頻度 ほとんどは、子宮内膜の発育不全、細菌感染など炎症、変性、多産、以前の手術(頻回の人工妊娠中絶術・帝王切開術・子宮筋腫など)による瘢痕(はんこん)による部分的な子宮内膜の欠損が原因になります。発生頻度は全分娩に対して0.001〜0.002%とまれですが、全分娩時母体死亡で癒着胎盤の占める割合は3%前後で、産科では重要な疾患です。 
   
癒着胎盤の分類 胎盤が子宮に入り込む深さの程度によって分類します。 
 


正常胎盤


脱落膜は赤ちゃんや羊水を包んでいる卵膜の一部で一番外側にあります。分娩時に赤ちゃんが産まれた後で子宮が収縮すると胎盤は、この脱落膜が子宮からはがれて外に出てきます。正常では、胎盤の中にある絨毛はこの脱落手前までで、脱落膜を超えて成長することはありません。


楔入胎盤
(placenta accreta) (けつにゅうたいばん)

厳密には癒着胎盤ではないですが、胎盤が脱落膜の中にまで侵入してきて子宮ぎりぎりまである状態です。このとき脱落膜が一部または完全に欠損している場合もあります。
この状態の癒着胎盤が頻度が最も多いです。

胎盤は分娩時に用手剥離術が可能な場合もあります。


嵌入胎盤
(placenta increta) (かんにゅうたいばん)

絨毛が脱落膜を超えて、子宮の中にまで侵入した状態をいいます。

胎盤は剥離困難で、単純子宮全摘術を行います。


穿通胎盤
(placenta percreta) (せんつうたいばん)

絨毛の侵入が子宮全層に及んで、子宮の表面(子宮しょう膜)にまで達している状態です。

胎盤は剥離困難で、単純子宮全摘術を行います。
診断 妊娠中
妊娠中は無症状です。特殊な例として、前回帝王切開術後の傷に前置胎盤があり、さらに癒着胎盤が生じて穿通胎盤となりその外側にある膀胱にまで侵入していくと、血尿が起こり妊娠中に診断される場合もあります。この場合超音波診断で独特なsponge like echoという像を確認します。

分娩時
赤ちゃんが産まれて30分経っても胎盤が出てこないときに癒着胎盤を疑います。胎盤用手剥離術を行っても剥がれて出てこないときに、臨床的に診断をします。

最終確定診断
単純子宮全摘出術後(手術的に子宮をすべて摘出する手術です)に、胎盤付着部位の病理組織検査で行います。
 
   
処置と治療
分娩後30分たっても胎盤が自然に剥がれて出てこないときに胎盤用手剥離術を行います。簡単に子宮から胎盤が剥がれて出てくれば無事分娩終了となりますが、強引に胎盤を剥がすと大出血して止血しなくなり、時にはDICを起こすこともあります。出血があり胎盤が出ない時には、開腹手術で単純子宮全摘出術を行います。
出血が無く、胎盤の自然剥離が認められないときには、胎盤用手剥離術で強引に剥離せずに一時残留したままで、子宮動脈塞栓術や薬剤を用いて絨毛を死滅させて、自然に出てくるのを待ちます。使用薬剤はメトトレキセート(MTX)という抗がん剤が胎盤内の絨毛を死滅させ、感染予防で各種抗生物質を用います。
 
   
胎盤用手剥離術(たいばんようしゅはくりじゅつ)

何らかの原因によって、赤ちゃんが産まれた後に長時間胎盤が自然に出てこないときに、手で胎盤を子宮から剥がして取り出す手術です。静脈麻酔や全身麻酔を用いて、術者は片手でお母さんのお腹の上から子宮を膣の方向へ圧迫し、もう一方の手を子宮の中に入れ胎盤と子宮の間を指でゆっくりと剥がして行きます。
 
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