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 新生児黄疸(しんせいじおうだん) 
 黄疸とは、血液中にビリルビンという物質が増加して全身が黄色くなる症状をいいます。ビリルビンは主に赤血球中のヘモグロビンが代謝されて脂溶性ビリルビンになります。
さらに脂溶性ビリルビンは肝臓でグルクロン酸と結合して水溶性ビリルビンへと変換されます。
脂溶性ビリルビンを間接ビリルビン、水溶性ビリルビンを直接ビリルビンと呼び、新生児黄疸のほとんどは間接(脂溶性)ビリルビンの増加により起こります。
間接(脂溶性)ビリルビンは脂に溶ける性質があり、赤ちゃんの皮下組織の脂肪に溶け込み蓄積して全身が黄色く見えます。
   
胎児期と新生児期の特徴  ビリルビンは、血液中の赤血球が壊れて出てきたヘモグロビンという物質を処理する際に作られます。
産まれた直後の赤ちゃんの赤血球(胎児血中の赤血球)の寿命は成人(120日前後)と比べて80〜90日と短いために間接ビリルビンの産生量が増加します。
ビリルビンの代謝排泄には肝臓と腸が重要な役割を果たしていますが、胎児や新生児の肝臓は未熟なためすべての間接(脂溶性)ビリルビンをグルクロン酸と結合させて直接(水溶性)ビリルビンへ変換できません。
胎児期は体内の間接ビリルビンを胎盤を介してお母さんの血液中に渡すことによって高ビリルビン血症にならずにすみます。
しかし出生後は、自分の体内で処理排泄しなければならず、さらに寿命の短い胎児期の赤血球(ヘモグロビンF)が血液中にあり、通常のヘモグロビンに作り変える必要があります。
以上の原因で出生後は多量の間接ビリルビンが産生されますが、生後7日間頃までは肝臓が未熟なために肝臓から胆汁として分泌して「うんち」へ排泄することが出来ません。これが新生児黄疸です。
また新生児では胆汁で一度「うんち」に排泄されたはずの直接ビリルビンが、腸内で加水分解されて間接ビリルビンに戻ってしまい腸管から再吸収されて血液中に戻ってしまう「腸肝循環」という現象も起こります。
 
   
   
検査  経皮的ビリルビン測定法  ミノルタ黄疸計などで、赤ちゃん優しく皮膚の上から測定できます。
血清総ビリルビン測定法  赤ちゃんから採血した血液中の総ビリルビン値を測定します。

治療基準値と検査結果を照らし合わせ治療の必要性を判断します。

 
     
ミノルタ黄疸計
                      
治療基準値
   
新生児黄疸の分類  間接(脂溶性)ビリルビンの増加
1) 新生児生理的黄疸
2) 新生児黄疸
3) 核黄疸
4) 母乳性黄疸

直接(水溶性)ビリルビンの増加
1)胆汁うっ滞型
   胆道閉鎖症、新生児肝炎、総胆管のう腫、感染症、家族性(遺伝性)疾患、代謝異常疾患、

2)非胆汁うっ滞型
   Dubin-Johnson症候群、Rotor症候群
 
   
新生児生理的黄疸  赤ちゃんは出生後3〜5日ごろ黄疸のピークを迎えます。ほとんどの場合、生後7日間ほど経つと肝臓の機能が発達し、自然に軽快するので治療の必要はありません。毎日ビリルビンの値を検査して経過観察します。 
   
新生児黄疸  上記の新生児黄疸が、生後24時間以内に発症した場合(早期黄疸)、間接ビリルビン値が正常範囲を超えた場合(重症黄疸)、生理的黄疸が長引いている場合(遷延性黄疸)を病的な黄疸と診断します。また重症黄疸を診断する際に他の病気や異常を認めない場合、新生児特発性高ビリルビン血症ともいいます。

原因
早期黄疸
 新生児溶血性疾患(血液型不適合妊娠・遺伝性溶血性疾患など)

重症黄疸 分娩時外傷などによる大きな皮下出血・新生児多血症・未熟児(早産児)など

遷延性黄疸 腸肝循環の亢進・飢餓・先天性甲状腺機能低下症・母乳性黄疸

治療
1)光線療法

高ビリルビン血症の際、始めに行われる治療法です。光線ユニットを使い赤ちゃんに紫外線を当て、血管外のビリルビンを立体異性体や構造異性体に変化させることで、体内の間接ビリルビンを腸管へ排泄させます。

2)交換輸血
出生前診断で血型不適合などの溶血性黄疸のリスクが指摘されている場合や光線療法で軽快ず悪化する場合などでは、赤ちゃんの血液を入替える治療を行います。
 
   
核黄疸  核黄疸とは、血液中の間接ビリルビンの上昇によって脳(大脳基底核)にビリルビンが蓄積して黄染していろいろな神経症状をきたす病気です。
血液と脳のあいだには「血液脳関門」と呼ばれる組織があり、血液中の物質を簡単には脳に通さないしくみになっています。
元気な赤ちゃんであれば生後1週間ほど経つと「血液脳関門」が働いて血液中のビリルビンを脳へ移行しなくなります。しかし未熟児(早産児)、低酸素状態、低血糖などが存在すると、「血液脳関門」の機能が低下して核黄疸になりやすくなります。
日本国内では、光線療法や交換輸血といった新生児黄疸の治療法が確立されたため発症率は激減していますが、分娩後の早期退院を行っているアメリカでは核黄疸が増加傾向にあり再び問題になっています。

症状
発症後間もない急性ビリルビン脳症と後遺症の慢性ビリルビン脳症に分かれます。
急性ビリルビン脳症(核黄疸)  
発病後2〜3日    嗜眠(しみん)、筋緊張の低下、
吸啜反射減弱    
刺激すると起きるが直ぐにまた眠ってしまい、身体に力が無く、母乳やミルクを吸う力が弱くなる。
発病後3〜7日 発熱、筋緊張亢進、後弓反張 熱が上がり、常に身体全体に力が入って硬く感じ、背中側にそっくり返ったような姿勢をしまします。
発症後7日以降     筋緊張亢進状態の消失 上記の筋緊張状態から、再び身体全体の力が抜けてきます。

慢性ビリルビン脳症(核黄疸後遺症)

1) 1年以内  哺乳不良、かんだかい泣声になる、運動の発達が悪くなる、筋肉全体に力が入りにくくダランとした感じがある。
2) 1年以降  脳性まひ、難聴、知的障害などが起こり永続的に続きます。
 
   
母乳性黄疸  母乳と黄疸の関係は、1963年に「母乳栄養に関した黄疸症候群」として報告され、現在は母乳栄養児で生後早期に見られる「早期高ビリルビン血症」と、遅れて母乳栄養児に見られる「遷延性高ビリルビン血症」に分けています。後者がいわゆる「母乳性黄疸」です。母乳性黄疸を診断する上で大切なことは、母乳以外に黄疸の原因を確認出来ないことです。

原因
1) 母乳の量が少なくカロリー不足になる、プレグナンジオールというホルモンの影響、母乳中の遊離脂肪酸の影響などが原因で、肝臓でのビリルビン処理の低下が起こり、黄疸が増強してしまう。

2) 赤ちゃんの胎便や移行便の排泄が遅れていたり胆汁の異常などがあると、腸肝循環が亢進されてしまいビリルビンの再吸収される量が増加して黄疸が増強してしまう。

症状と治療
早期高ビリルビン血症

生後1週間以内に、明らかに母乳以外の原因が無い高ビリルビン血症をいいます。母乳の分泌量が少なかったり、カロリー不足であることが原因とされています。
必要があれば光線療法を始めます。母乳栄養は治療中も中止しないで続けます。

遷延性高ビリルビン血症
生後1週間以上の母乳栄養児が、母乳以外の原因が考えられず黄疸が持続する場合を「母乳性黄疸」と診断します。通常母乳性黄疸の赤ちゃんは、非常に元気で黄疸以外の症状は認めません。母乳を一時中断すると黄疸が消え、その後母乳を再開しても黄疸は出なくなります。
母乳を中止する目安は、赤ちゃんの血液中の総ビリルビン値が20〜25mg/dL以上とされています。
 

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