HOME  症状  検査  妊娠週数  分娩経過  産後経過  新生児  さくいん  

Presented by Kitramura-Hosp.com


症状 よくある質問 検査結果 妊娠週数 分娩経過 産後経過 新生児  さくいん おすすめ商品
 ガスリー検査 
ガスリー検査はアメリカのガスリー博士たちのグループが1960年代初頭に新生児のフェニールケトン尿症のスクリーニング検査を行なったのが始まりです。わが国においても当時の厚生省(現在は厚生労働省)が試験的にスクリーニング検査を始め、先天性代謝異常等検査(ガスリー検査)として1977年から全国的に実施され、現在に至っています。
   
目的 開始当初は、「フェニールケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症、ヒスチジン血症」のアミノ酸代謝や炭水化物代謝などの先天性代謝異常を早期に発見と治療することで 、赤ちゃんの「知能障害や発育障害」を防ぐために行なわれました。
その後、何度か内容の見直しを行い、アミノ酸代謝や炭水化物代謝のみならずホルモン代謝(下記参照)を含めて、すべての新生児に対して行われています。
   
検査内容の変更 開始当初は、「フェニールケトン尿症、メープルシロップ尿症、ホモシスチン尿症、ガラクトース血症、ヒスチジン血症」の先天性アミノ酸代謝異常が対象でした。その後研究が進むにつれて、日本では発症頻度が高く、しかも不足しているホルモンを投与するだけで治療できる疾患として1980年に先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)、1988年に先天性副腎過形成症をこれらをスクリーニング対象疾患に加えることによって新生児マス・スクリーニングの障害児発症予防の効果は一段と向上しました。
一方、ヒスチジン血症に関しては常染色体劣性遺伝の病気で低ヒスチジン食で治療したグループと治療しなかったグループとに分けて知能の発達を比較したところ、まったく差のないことが明らかになり、1992年厚生省(当時)の委員会は「ヒスチジン血症は食事療法を行う必要のない疾患である」と結論づけ、厚生省(当時)にその旨を報告したので、本症はスクリーニング対象疾患から除かれ現在に至っています。

★現在行なわれているガスリー検査の内容と頻度
フェニールケトン尿症(8万〜10万人に1人)
メープルシロップ(かえで糖)尿症(50万〜70万人に1人)
ホモシスチン尿症(40万〜100万人に1人)
ガラクトース血症(8万人に1人)
先天性副腎過形成症(2万人に1人)
先天性甲状腺機能低下症(5千人に1人)

注)頻度に関しては、研究機関により誤差があります。  
   
検査方法 生後4〜5日目に赤ちゃんの足の裏(かかと付近)に小さな傷をつけ血液を約0.2ml採取(専用ろ紙に吸い込ませる)して検査センターへ郵送します。結果は後日各医療機関へ送られ、1ヶ月健診のときにお渡しできます。
   
各病気の説明 ★フェニールケトン尿症
必須アミノ酸のフェニルアラニンからチロシンへ変換させる酵素や補酵素の先天性の機能的欠損が原因で起こります。早期に治療を開始しないと精神遅滞を引き起こし、先天性アミノ酸代謝異常症の中では最も頻度の高いものです。

★メープルシロップ(かえで糖)尿症
必須アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)の代謝経路にあるα-ケト酸脱水素酵素複合体の活性が低下するために生じる常染色体劣性遺伝疾患です。 α-ケト酸が体内に貯留するため尿や汗からは特有のメープルシロップのような香りがすることからこの名前が付きました。
治療を施さなければ麻痺、発育障害、知的障害を起こし、最悪死に至ることもあります。

★ホモシスチン尿症
必須アミノ酸(メチオニン)の代謝経路にあるシスタチオニン-β合成酵素の先天的欠損があるためホモシスチンがシスチンに変換出来ないで体内に多量に蓄積され尿中へ排出される先天性アミノ酸代謝異常症のひとつです。
出生時期はほとんどが無症状です。1歳過ぎから知能障害が出始め、3歳ごろからは骨格異常(高身長・四肢指伸長・続発性の骨粗鬆症)、視力低下・緑内障などが起こります。

★ガラクトース血症
糖の一種であるガラクトースを代謝するために必要な酵素が非常に少ないか、もしくは全く欠いてしまっているガラクトース血症は、常染色体劣性遺伝疾患です。そのため血液中のガラクトース含有量が危険な水準まで高まることで様々な症状が起こります。ガラクトース血症は、肝硬変、腎不全、白内障、敗血症、髄膜炎などを引き起こし、言語障害、失調、測定障害、骨粗鬆症、早発閉経などの合併症を伴う場合があります。治療されない場合、ガラクトース血症を発症した幼児の死亡率は75%に及びます。
ガラクトース血症は乳糖不耐症と混同される場合がありますが、症状はより重篤です。
消化酵素(ラクターゼ)の欠損が原因の乳糖不耐性は、乳製品を食べると腹痛や消化不良や下痢などの症状を起こす疾患です。

★先天性副腎過形成症
副腎というホルモンを産生する臓器内の酵素(21水酸化酵素欠損症が全体の90%を占めます)の異常によって起こる常染色体劣性遺伝疾患です。21水酸化酵素の活性状態によって症状は異なります。活性が低いと塩分(ナトリウム)が尿で出てしまい身体の脱水症状を起こし致命的な状態になります(塩類喪失型)。またこの酵素の働く前の段階まで産生される性ステロイドホルモンが血液中に増加して男性化を起こします(単純男性型)。
# 男児では、身長の低下、肥大した陰茎、知能発達は正常です。
# 女児では女性化性半陰陽、多毛、陰毛や腋毛の早期出現、乳房発達や月経は有りません。

★先天性甲状腺機能低下症
妊娠中や分娩周辺(周産期)に何らかの病因で甲状腺そのものに異常が起こり甲状腺ホルモンの産生不足や作用不全が原因となって起こる病気です。
ガスリー検査では、未熟児(2000g以下)、哺乳不足、出生後4日以前の検査、などでは再検査となることが多く、自治体によっては2回検査(再検査)を実施しているところもあります。

 Copyright (C) 2009.internethospital. All Rights Reserved.