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 急速遂娩(きゅうそくついべん) 
 急速遂娩とは、分娩経過中に赤ちゃんやお母さんに危険が生じて自然の分娩進行を待っていては症状の悪化が考えられるために、分娩時間の短縮を図るために赤ちゃんを産むことをいいます。 
   
急速遂娩について 分娩の進行状態によって、経腟分娩(吸引分娩と鉗子分娩)で行われる場合と帝王切開術で行う場合があります。
分娩第2期(子宮口が完全に開いている状態)以降で胎児を経腟分娩で産むことが可能と判断した場合は、吸引分娩または鉗子分娩を行います。しかし分娩第1期(子宮口が完全に開く前)やたとえ子宮口が完全に開いていても赤ちゃんが下がっていない場合などでは、帝王切開術を選択します。
 
   
急速遂娩の選択 お母さん側の適応と赤ちゃん側の適応があり、次に吸引分娩と鉗子分娩を行うための条件を満たしているかを判断します。 
  適応条件
母体の原因による適応 胎児の原因による適応
・分娩第2期の遷延や停止
(軟産道強靭、微弱陣痛、母体の過度の疲労など)

・母体の合併症により第2期を短縮する必要がある
(帝王切開術後の分娩、心臓病、高血圧など)

・無痛分娩時の母体腹圧不全
・胎児機能不全

・分娩第2期の遷延や停止
(回旋異常など)

施行条件

 1)お母さんの身体の状態が分娩に耐えられる状況であること
 2)経腟分娩が可能であること(児頭骨盤不均衡が無いこと)
 3)赤ちゃんの頭が十分に下がってきて、吸引分娩と鉗子分娩が出来る位置にいること
 4)赤ちゃんが生きていること
 5)子宮口が全開大(完全に開いている)であること
 6)すでに破水していること
 7)お母さんの膀胱や直腸が空であること
 
 
ソフトバキュームカップ

シリコーンゴム製で児頭にソフトに
吸着し、回旋異常の際も素材の
柔軟性から骨盤の形に添って
牽引できます
鉗子の種類
(左から)
1 ネーゲル氏鉗子
2 シンプソン氏鉗子
3 キーランド氏鉗子
4 パイパー氏後続児頭鉗子
 
   

吸引分娩と鉗子分娩の比較

吸引分娩 鉗子分娩
利点 操作技術が簡単
回旋異常にも使える
産道損傷が少ない
鉗子分娩のように左右から児頭の圧迫がない
胎児を娩出する時間が短い
牽引力が強い
胎児娩出の確実性が高い
産瘤がある場合も操作できる
問題点 牽引力が鉗子分娩に比べて弱い
未熟児には不適当である
児頭に合併症を起こすことがある
操作に熟練を要する
産道損傷を起こしやすい
胎児の顔や頭へ損傷が起こりやすい
   
吸引分娩と鉗子分娩の実施 吸引分娩
陣痛と陣痛の合い間に、吸引カップを腟の中へ挿入して赤ちゃんの頭に密着させます。陣痛が始まると同時にカップを陰圧にして「いきみ」に合わせて赤ちゃんの頭を牽引して分娩の補助をします。

鉗子分娩
赤ちゃんの骨盤内の位置を内診によって確認し、鉗子を左右別々に腟内に挿入して赤ちゃんの頭を挟み込むように両葉をかみ合わせます。(鉗子が正しく挿入されていれば鉗子の両葉は簡単にかみ合います。)数度の試験牽引を行った後で、陣痛にあわせて鉗子を牽引して分娩の補助をします。
 
   

吸引分娩と鉗子分娩で起こる損傷

吸引分娩 鉗子分娩
母体の損傷 ・軟産道損傷
(頚管裂傷・腟壁裂傷・腟壁血腫・会陰裂傷)
・骨産道損傷
(恥骨結合離開)
・骨盤内神経の損傷
・軟産道損傷
(子宮壁損傷・頚間裂傷・腟壁裂傷・腟壁血腫・会陰裂傷)
・骨産道損傷(恥骨結合離開)
・骨盤内神経の損傷
胎児の損傷 産瘤 頭血腫 帽状腱膜下血腫
網膜出血 児頭の脱毛
・鉗子によって過度の圧迫による
脳圧迫・頭蓋内出血・脳組織損傷・頭蓋骨陥没骨折
・鉗子の装着ミスによる
眼球損傷・眼球突出・顔面神経麻痺・視力障害
   
帝王切開術 帝王切開術に関して詳しくは・・・→ こちらへ 
   
ひと言 一般的に吸引分娩と鉗子分娩で産まれた赤ちゃんは、自然分娩で産まれた赤ちゃんに比べて予後が良くないといわれていますが、急速遂娩術(吸引分娩や鉗子分娩)を必要とする状態自体、赤ちゃんが胎児仮死などの緊急状態にあることを意味しているために、一概に予後不良の原因を吸引分娩や鉗子分娩のためと決め付けられません。 
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