HOME  症状  検査  妊娠週数  分娩経過  産後経過  新生児  さくいん  

Presented by Kitramura-Hosp.com


症状 よくある質問 検査結果 妊娠週数 分娩経過 産後経過 新生児  さくいん おすすめ商品
 へその緒の異常 
 臍帯(へその緒)は胎盤と赤ちゃんをつないでいる血管が中にあり、胎盤でお母さんからもらった大切な栄養分や酸素などを赤ちゃんに供給し、赤ちゃんの老廃物などを胎盤を介してお母さんに受け渡す働きをしています。この臍帯に異常があると赤ちゃんは妊娠中はもとより分娩時にもいろいろな異常が起こり、時には致命的なことにもなりかねません。 
   
臍帯の解剖 臍帯は、赤ちゃんのおへそと胎盤をつないでいて長さは50〜60cmで半透明な大人の手の指ほどの太さです。全体はワルトンジェリーという物質で出来ていて、中に2本の臍帯動脈と1本の臍帯静脈が入っています。神経系の組織は存在しません。このワルトンジェリーの弾力性によって中の血管は赤ちゃんなどによる圧迫から血管が押しつぶされないように保護しています。また捻転といい、糸のようにねじれています。このねじれは臍帯の中にある動脈の発育速度が静脈よりも速く長くなるからです。
臨床的には、臍帯が胎盤のどこに付いているかで分類されています(下図)。
 
   
   
妊娠中に問題になる異常

臍帯の異常は妊娠中無症状のことが多いですが、妊娠中の赤ちゃんは一度症状が出ると、お母さんからの酸素の供給が突然途絶えて胎児機能不全に陥ることがあります。

長さの異常 過長臍帯 臍帯巻絡(さいたいけんらく)
臍帯結節
付着部位の異常 卵膜付着
    前置血管
捻転の異常 過捻転
捻転不足
   
分娩中に問題になる異常

妊娠中は無症状のことが多いですが、分娩中は(分娩開始時期を含めて)早期から赤ちゃんに異常をきたすことがあります。そのほとんどが臍帯の圧迫による血流障害で、赤ちゃんはお母さんからの酸素供給が減り、酸素不足になり胎児機能不全を起こします。

長さの異常 過長臍帯  臍帯巻絡
    臍帯下垂、臍帯脱出
    臍帯巻絡
  過短臍帯  遷延分娩
    常位胎盤早期剥離
    子宮内反症
付着部位の異常   卵膜付着
    前置血管
捻転の異常    過捻転 
    捻転不足
   
臍帯巻絡(さいたいけんらく) 臍帯巻絡とは、妊娠中へその緒が赤ちゃんに絡みついてしまうことです。原因は通常より長めのへその緒を元気な赤ちゃんが動き回って自分の身体に巻きつけてしまうことが多いようで、ほとんどは、首に巻きつけてしまい「臍帯頚部巻絡」といいます。20〜30%の赤ちゃんに起こるとされています。

症状 妊婦健診時に超音波検査で発見することがありますが、ほとんどの場合は無症状でそのまま経過観察を行いますが、巻絡の回数や締め付けがきついようなときには、子宮内胎児発育遅延や突然の胎児死亡を起こすこともあります。分娩時になると赤ちゃんは骨盤の中に入り始め、さらに下降することで巻絡がきつくなり臍帯が圧迫されて血流障害を起こし、胎児機能不全に陥ることもあります。この場合分娩の進行状態により吸引分娩や帝王切開術が選択されることもあります。

臍帯巻絡の超音波写真は・・・こちらへ
 
   
長さの異常 過長臍帯 通常の臍帯の長さは、50〜60cmです。分類上70cm以上ある場合を過長臍帯とします。妊娠中は臍帯巻絡などを起こすこともありますが、無症状で経過する場合が多いです。現状では妊婦健診などの超音波検査でも正確な長さの測定は不可能です。まれですが、赤ちゃんが動き回ることで「臍帯真結節」という結び目(糸のカタ結び)を作ってしまうことがあり、結び目の状況によっては血液の流れが遮断されてしまい胎児死亡をおこすこともあります。分娩中に赤ちゃんより先に骨盤の中に臍帯が垂れ下がってくると(臍帯下垂)、陣痛で赤ちゃんが下がると臍帯は産道と赤ちゃんによって圧迫されてしまい血流障害を起こし、胎児機能不全に陥ってしまいます。さらに破水を起こすと臍帯は腟や外陰部から外に出てくる(臍帯脱出)ことがあり、臍帯下垂も臍帯脱出も緊急帝王切開術の適応になります。

過短臍帯 臍帯の長さが25cm以下の場合をいい、羊水過少症を伴うこともあります。この場合は羊水が少ないために赤ちゃんの動くスペースが少ないため臍帯の発育が遅れるためだといわれています。こちらも妊娠中は無症状な場合が多く、分娩時になって症状が出ます。臍帯が短いために分娩中に赤ちゃんが下がりにくく遷延分娩になることがあります。また赤ちゃんが下がることによって臍帯が胎盤を引っ張ることで胎盤が剥がれてしまったり(常位胎盤早期剥離)、胎盤が剥がれず子宮が引っ張られて子宮内反症を起こすこともあります。 
   
臍帯下垂、臍帯脱出 臍帯が長すぎて(過長臍帯)垂れ下がり、赤ちゃんより先に産道に入ってしまうために起こります。破水前を臍帯下垂、破水してさらに臍帯が垂れ下がって膣や外陰部まで出てきてしまった場合を臍帯脱出といいます。

発症しやすい場合 赤ちゃんと産道にすき間が出来やすい場合です。骨盤位(逆子)、横位、骨盤内の腫瘍(子宮筋腫など)、狭骨盤、羊水過多症、多胎妊娠、前期破水、胎児発育遅延(赤ちゃんが小さい)などさまざまな状況下で起こる可能性があります。
発症した場合は、緊急帝王切開術を行います。応急的に臍帯還納術(臍帯を子宮の中へ戻す方法)を行うこともありますが、成功率は低いようです。
   

卵膜付着

通常、へその緒(臍帯)は胎盤に直接付いていますが、卵膜に付いている場合がまれにあります(全妊娠の1〜2%)。へその緒の中の血管は、ワルトンジェリーによって胎児や子宮収縮などの圧迫から保護されています。しかし卵膜の付着部位から胎盤までは薄い卵膜に覆われているだけで、ワルトンジェリーが無いため胎児などの圧迫によって簡単に血行障害を起こし、胎児機能不全や突然の子宮内胎児死亡の原因になることがあります。
診断は、妊婦検診中の超音波検査によって出来ますが、妊娠中の治療法はありません。入院などで厳重に管理を行い、分娩は帝王切開術をおこないます。



 
   

前置血管

臍帯の卵膜付着があり卵膜内を走行している血管が子宮口の直上にある場合をいいます。頻度は全妊娠の0.1〜0.05%で、非常に稀です。この場合通常の卵膜付着同様に胎児などの圧迫により胎児機能不全を起こすことはもとより、破水などによって臍帯の血管が破れて大出血(赤ちゃんの血液)が起こり、胎児死亡を起こすことがあります。診断と治療は卵膜付着と同様ですが、更なる厳重な管理が必要になります。



 
   

臍帯の捻転異常

臍帯の捻転 臍帯は捻転といい、中にある動脈の発育速度が静脈よりも速いため長くなり、反時計回りに10〜11回糸のようにねじれを生じます。この捻じれがあるため臍帯は鋭角に折れ曲がることがないので、中にある血管の血流を保つことが出来ます。

過捻転 捻転の回数が多くなると、中にある血管の血流抵抗が増加し胎児に負担がかかる可能性があります。

捻転不足 分娩の際などに鋭角に折れ曲がる可能性があり、突然血流が妨げられて胎児機能不全や胎児死亡に陥ることもあります。
 
   

臍帯結節

臍帯真結節 臍帯をを1本のロープと考えてください。そのロープの途中にカタ結びが出来た状態を「臍帯真結節」といいます。真結節の頻度は、全妊娠の0.5〜2%だと報告されています。赤ちゃんが動き回って真結節の結び目がきつくなると中にある血管がつぶれて突然血流が遮断され胎児死亡を起こすことがあります。

原因 赤ちゃんが動き回って、偶然出来た臍帯の輪の中をくぐり抜けて出来ます。元気すぎる赤ちゃん、臍帯過長、羊水過多、さらに1羊膜1絨毛膜性双胎児妊娠の際にお互いの臍帯がからまってしまう場合もあります。
診断と治療 現状の超音波検査では、妊娠中に発見することは非常に困難です。また偶然発見できても妊娠中に結び目をほどく方法はありません。


臍帯偽結節 真結節と異なり、臍帯中の血管がワルトンジェリーの中でとぐろを巻いたような状態で、臍帯が膨らんでいるものをいいます。臨床的には問題なく、胎児にも影響ありません。 

 Copyright (C) 2009.internethospital. All Rights Reserved.