|  手や足のしびれ  | 
    
    
       妊娠中〜分娩後、育児中に親指から薬指にかけて「しびれ、痛み、知覚鈍麻」などが起こることがあります。 
      妊娠中〜分娩後は「むくみ」などが原因となり、育児中は手首を酷使することが原因だといわれています。 
      多くの場合これらは、「手根管症候群」といわれるものです。何故そのようなことが起きるのかは原因不明のことが多いですが、女性に多く発症し特に妊娠や出産〜育児期に症状が出ることがあるので、女性ホルモンの変化による可能性もあると言われています。 
      また、妊娠〜産後にかけて足のしびれを訴えるお母さんもいます。妊娠中に大きくなった子宮や胎児によって、坐骨神経などが長時間にわたり圧迫されたことが原因で起こる場合が多いようです。  | 
    
    
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      手の神経について | 
      
      
        
          
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            手の神経は、正中神経と尺骨神経があります。 
            正中神経は親指から薬指の半分をカバーし、尺骨神経は薬指半分と小指をカバーしています。 
       
      正中神経は束になって手首の手根管というトンネル内を通っています。 
      尺骨神経には神経管がありません。   | 
           
        
       
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      | 手根管症候群とは? | 
      正中神経の束が手根管の「むくみ」などによって圧迫されて、親指〜薬指の半分が「しびれ、痛み、知覚鈍麻、指の動きが悪くなる」などの症状がでます。神経管の無い尺骨神経がカバーしている小指には、このような症状が出ないことが特徴です。  | 
    
    
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      | 原因 | 
      手根管というトンネルが細くなり正中神経を圧迫するために起こりますが、何故?「むくみ」などが起こるのか、はっきりとした原因は解明されていません。しかし手首を酷使することで症状が悪化することは間違いありません。 
妊娠〜育児期以外で手根管症候群を起こす可能性のある疾患として、手首の骨折の既往、糖尿病、甲状腺機能低下症、リウマチ、透析中の腎不全、アミロイドーシス、自己免疫疾患などが知られています。さらに女性の閉経後にも起こることがあります。  | 
    
    
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      | 症状 | 
      正中神経が圧迫されたり傷つくことによる特徴的な症状が現れます。 
1)特に夜間、早朝に、親指からくすり指の半分(中指側)が強いしびれを感じる。 
2)日によって、4本すべてがしびれない場合もある。 
3)手のひらだけがしびれて、手の甲はしびれない。 
4)小指はしびれない。 
5)半数以上は両手に生じる。 
 
症状が悪化すると、親指の付け根の筋肉(母指球筋)がやせて、ボタンをかける、物をつまむなどの指先の細かい動作が困難になります。 | 
    
    
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      | 検査と診断 | 
      自宅で簡単にできる検査は、先のとがった物(ツマヨウジなど)で小指から親指まで順番に指先をちょっと強めに押してみてください。 
小指の痛さと他の指の痛さを比べてみると、小指以外の痛みが弱く感じる。 
      さらに、薬指の小指側と中指側を同様に押した時、小指側が痛みが強いときは、「手根管症候群」が考えられます。 
       
      その他の検査 
      
        
          
            | ティネル徴候 | 
            手首の真ん中の手根管のある部分を軽くたたくと、親指からくすり指にかけてしびれが走る。 | 
           
          
            | ファーレンテスト | 
            手首をしばらく曲げていると、しびれが悪化する。 
            胸の前で、手の甲と手の甲を合わせると、手のしびれが強まる。 | 
           
          
            | 神経伝導速度検査 | 
            電気刺激で、手根管の部分で神経の流れが悪化していることを確認する。 | 
           
          
            | MRIや超音波検査 | 
            手根管部分の正中神経がむくんで腫れているかを確認する。 | 
           
        
       
        
      鑑別診断 
頚椎の病気でも、同じような症状を示す場合もあります。特に手根管症候群と頚椎の病気が両方あると「ダブルクラッシュ」といい診断が困難なこともあります。 | 
    
    
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      | 治療 | 
      一般的に予後は良好で、生活環境の中で患部の安静を心掛けることで症状を徐々に減らしていくことができます。 
  
    
      | 手首の安静 | 
            ギプスやサポーターなどを使って、手首を曲げたり伸ばしたりしないようにして手首を安静に保つようにします。特に、睡眠時に弾性包帯などを使って手首をサポートすると、朝の症状が軽くなる場合があります。 
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      | 消炎鎮痛剤とビタミン剤 | 
            症状が強い場合には、消炎鎮痛剤を使用します。また、ビタミンB12製剤も有効です。 
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      | ステロイド注射 | 
            手首の手根管に直接、ステロイド剤を注射する。 | 
           
    
      | 手術治療 | 
            症状が慢性的に長期に及んでいる場合には、手術が選択されます。 | 
           
        
       
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      | 足のしびれや知覚鈍麻について | 
      手根管症候群のような神経管による神経の圧迫とは異なりますが、基本的には妊娠中に大きくなった子宮や胎児によって長期間にわたる坐骨神経などの圧迫によって起こります。特に多い症状は、大腿部(太もも)の内側にしびれや知覚鈍麻が起こりやすいようです。 
産後は圧迫が取れますが、長時間にわたり圧迫されたことによって神経に傷などがある場合は、回復に時間がかかることもあります。 
 
治療 
手の治療同様、消炎鎮痛剤やビタミンB12製剤を使います。 
 
注意点 
「ふくらはぎ」に痛みなどがある場合は、血栓性静脈炎の可能性があるため早めに主治医と連絡を取り診察を受けるようにしてください。 
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