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 アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎に関する質問も外来診察中によくあります。
「産まれてくる子供がアトピー性皮膚炎に罹らないようにするために、妊娠中から食事療法をするべきか?」、「私の(夫の)アトピー性皮膚炎が子供に遺伝するか?」
・・など、お母さんの心配はいろいろあるようです。アトピー性皮膚炎の妊婦さんも大勢います。
妊娠中には何を注意すればよいのでしょうか?
 
   
原因 @免疫のバランスが崩れている。
リンパ球のヘルパーT細胞のI型(細菌・ウイルスの対応)と、II型(本来寄生虫に対応)のバランスが逆転している。

A皮膚のバリアー機能が低下している。
皮膚角層のセラミドが不足してアレルギーの原因物質が体内に入りやすく、皮膚が乾燥しやすい。

B活性酸素分解酵素の減少。
余分な活性酸素を除去する分解酵素が減少して、アトピーを悪化や治りにくくしている。

・・・などが考えられていますが、単一の原因で起こるものでなく生活習慣なども関係するものと思われます。
 
   
遺伝について アトピー性皮膚炎の患者さんの家族を調べると、親にアトピー性皮膚炎がある確率は、30%〜60%程度と報告されています。アトピー性皮膚炎以外の喘息やアレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎などのアトピー性疾患群を合わせた頻度は50〜70%とされています。
また、お母さんがアトピー性皮膚炎に罹っている場合、お母さんのアトピー性皮膚炎が重症でも、子供さんがアトピー性皮膚炎を発症しなかったり、 発症してもごく軽い症状であることもあります。言い換えれば、アトピー性皮膚炎のお母さんからでもアトピー性皮膚炎の子供さんが生まれないこともあります。
同一環境で育った同じ遺伝子を持つ1卵性双生児で2人ともアトピー性皮膚炎だったのは60%程度、遺伝子の違う2卵性双生児で2人ともアトピー性皮膚炎だったのは40%前後だったという報告もあります。
アトピー素因は国民の3割くらいが持っているのではないかという説もあります。この素因は体質として遺伝するものですが、アトピー性疾患は遺伝だけで決まるものでなく、なりやすい体質プラス環境要因で発症するものです。また、ご両親にアトピー性皮膚炎がなくても、お子さんがアトピー性皮膚炎を発症することもあります。
 
   
妊娠中の食事療法 「妊娠中に卵・牛乳を取らないようにすると、アトピー性皮膚炎の子供が生まれにくい」とよく聞きますが、妊娠中に食事制限をした群としなかった群で比較した研究では、子供のアトピー性皮膚炎の発症率に差はなかったと報告されています。
エビデンス(科学的な根拠)のない妊娠中の除去食は母体・胎児の栄養低下を招く危険性からも行わないよう米国小児科学会、欧州小児アレルギー学会では意見を出しています。
 
   
妊娠がアトピー性皮膚炎に及ぼす影響 妊娠中は約90%の方が悪化したという報告もあります。

★妊娠中の悪化原因
@妊娠中は非妊娠時に比べて体内の免疫機能が変わる

A基礎体温の上昇や発汗などによる痒みの発生や刺激の増加

B胎児への影響を心配してしまい不十分(不適切)な治療

C妊娠に関する精神的な不安やストレス
 
   
妊娠中のアトピー性皮膚炎の治療について 妊娠中にステロイド剤の使用を敬遠される方が多くいらっしゃいますが、皮膚へ使うステロイドのクリームや軟膏は胎児への影響はほとんど無いので心配せず、従来どおり治療を続けてください。
治療を中断してしまうと、かゆみ等で十分な休息や睡眠時間が取れずストレスからアトピー性皮膚炎の悪化や血圧上昇などを起こしてしまいます。
 
   
母乳について 授乳中のお母さんのアレルゲン食品除去は、子供さんの1〜2歳までの食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を減らす可能性はありますが、発症を完全に予防できる確証はありません。
また、母乳中には母親の摂取した食物アレルゲンが検出され、アレルギーリスク児が食物アレルゲンの影響を受ける可能性があることが明らかになっています。
赤ちゃんの3ヶ月健診の調査から粉ミルクと母乳を比べると、母乳栄養にアトピー性皮膚炎の赤ちゃんが多いという報告もあります。
これは、母乳は雑食の人間からの乳汁であるため多くの抗原が「母乳」に含まれることを考えれば当然のことかもしれません。
 

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