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 微弱陣痛 
陣痛が弱すぎると分娩がスムーズに進まなくなります。分娩の始めから弱い場合(原発性)と、途中から弱くなる場合(続発性)があります。 
   
原因

原発性微弱陣痛 分娩の開始から陣痛が弱い場合をいいます。子宮が収縮できない場合が考えられ以下のような原因が考えられます。

1) 多胎(双胎)妊娠
羊水過多
子宮が通常より大きくなり伸びすぎてしまうため。
2) 子宮筋腫 子宮自体の病変によるため。
3) 前回帝王切開術
多産
子宮の奇形
子宮の形態的機能不全や子宮の全体または創の部分が薄くなってしまうため。

続発性微弱陣痛 分娩の開始は順調に陣痛が経過していたものが、途中から弱くなってしまったものをいいます。

1) 児頭骨盤不均衡(CPD)
胎位の異常
前置胎盤
胎児が上手く骨盤の中に入れず、子宮頚部神経叢を刺激できないために陣痛が強くならないため。
2) お母さんの衰弱
分娩に対する恐怖
お母さんの全身衰弱を起こすような病気や心理的な原因によります。
3) 遷延分娩
(せんえんぶんべん)
分娩時間が長く、お母さんが疲れてしまう。
4) 過強陣痛 陣痛が強すぎて、子宮が疲れてしまう。
5) 胎児の姿勢など 子宮内での胎児の姿勢や骨盤位などの異常がある。
6) 巨大児など 胎児の大きさの異常による。
7) 難産道強靭 軟産道の異常による。
   
検査と診断

陣痛が正常か弱いかの診断は、子宮内圧を測定することで診断をつけますが、臨床的には子宮内圧を正確に測ることは困難な場合が多く、胎児心拍数陣痛図(CTG)によって外測法を用いて代用しています。

診断基準
1)子宮内圧の低下
2)陣痛周期の延長
3)陣痛の持続時間の短縮

以上の3つのうち1つでも認めた場合に「微弱陣痛」と診断します。

正常陣痛と微弱陣痛の基準値の比較

   子宮口の状態    正常分娩    微弱陣痛

宮内圧
   4〜6cm    40mmHg    10mmHg以下
   7〜8cm    45mmHg    10mmHg以下
   9cm〜分娩第2期    50mmHg    40mmHg以下
陣痛周期    4〜6cm     3分    6分30秒以上
   7〜8cm    2分30秒    6分以上
   9cm〜分娩第2期    2分    初産4分以上 経産3分30秒以上
持続時間    4〜6cm    70秒    40秒以下
   7〜8cm    70秒    40秒以下
   9cm〜分娩第2期    60秒    30秒以下
  胎児心拍数陣痛図による比較  (上が正常、下が微弱陣痛)
正常陣痛

微弱陣痛
 
   
治療 治療の原則は、胎児や産道の状況などを確認して問題がなければ、待機して有効な陣痛が回復するかどうか確認します。回復を期待できない場合は、子宮収縮促進剤の使用を行います。

分娩第1期
児頭骨盤不均衡、前置胎盤、胎盤早期剥離、胎児機能不全、胎児の位置異常など分娩中に支障をきたす可能性のある異常を確認した場合には、帝王切開術を行います。
しかし児頭骨盤不均衡が疑われる場合でも、胎児の大きさが骨盤を通過できる可能性があり胎児の状態が良ければ、帝王切開術の準備と平行して試験的に子宮収縮促進剤を用いることもあります。
子宮や胎児に異常を認めず、一定時間経過観察して微弱陣痛の回復が期待できないときには子宮収縮促進剤を用いて陣痛の増強をおこないます。

分娩第2期
胎児機能不全や児頭骨盤不均衡などが無く、明らかに微弱陣痛が原因で胎児の下降が悪い場合には、子宮収縮促進剤や吸引分娩・鉗子分娩(かんしぶんべん)などをおこないます。

治療薬(子宮収縮促進剤)
1)オキシトシン 点滴で使用する促進剤です。子宮口が5cm以上開いた時点から用いることが普通です。
2)プロスタグランジンE2 内服で使用する促進剤です。子宮頚管を軟らかくする働き(頚管熟化作用)が有るために、子宮口の開きが悪い状態でも使えます。
3)プロスタグランジンF2α 点滴で使用する促進剤です。プロスタグランジンE2と異なり頚管熟化作用はありません。
 
   
微弱陣痛の胎児への影響 通常は、微弱陣痛が胎児へ悪影響を及ぼすことはあまりありません。しかし前期破水がある場合は抗生物質などを投与して自然陣痛が始まるのを待ちますが、微弱陣痛があると分娩時間が延長するため羊水感染が進行する場合があります。 
   
微弱陣痛の母体への影響 微弱陣痛で分娩時間が延長すると、母体の疲労さらに遷延分娩の原因になります。遷延分娩(せんえんぶんべん)とは、陣痛が始まってから初産婦さんで30時間、経産婦さんで15時間経ってもお産にならない場合をいいます。
さらに遷延分娩は弛緩出血の原因にもなります。前期破水があると胎児感染と同時に、子宮にも感染が起こり分娩後の産褥熱や産褥子宮筋層内膜炎付属器炎の原因になります。
 

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